計算力学技術者 認定試験の例年のスケジュール

2020年3月30日CAECAE,工学

日本機械学会(JSME)が主催する、「計算力学技術者(CAE技術者)資格」という資格試験があります。

「計算力学」とは要するにシミュレーションで現象を再現する工学分野のことで、「CAE(コンピューターを活用した設計)」を行う際に必要となる知識です。

近年、コンピューターの性能がとても良くなって、家庭のパソコンくらいの性能でも充分なシミュレーションを行えるようになってきました。さらに、無料のCAEソフトがあったり、無料CADにCAE機能がついていたりするなど、誰でもCAEを行えるような環境ができてきました。

一方で、その「誰でもできる」という環境のせいで、計算手法を理解せず、出てきた結果を盲信してしまう人も増えていると思われます。機械学会は、その状況を改善するために、計算力学に特化した資格試験を開催して、CAEの力量を測れるようにしたようです。

私もこの資格を受けたのですが、他の資格と比べてこの試験の申し込みが非常に複雑で分かりにくいため、大まかな日程をまとめてみました。特に、ゆうちょ銀行の窓口(平日昼間)や郵便局(夜間のゆうゆう窓口OK)に何回も行かないといけないので注意が必要です。

なお、この記事では2019年度までの情報で書いています。2020年度以降は申し込み手続きが変わっているかもしれませんので、申し込みの際は必ず「計算力学技術者(CAE技術者)の資格認定」公式サイトを参照ください。

また、本記事では「固体・振動・熱流体」分野の「2級・1級」グレードについてまとめています。他にも「初級」・「上級アナリスト」というグレードもありますが、受けたことがなく分からないので、まとめていません。

2020/5/25追記:
機械学会より、今年度の開催については「安全を考慮しつつ2020年度に開催したい」という旨が公表されました。詳細は次のリンクをご覧ください。
https://www.jsme.or.jp/cee/news/2020/05/1306
今年度は通常と異なるスケジュールの可能性がありますので、最新の情報は公式サイトをご覧ください。また、2級の固体・振動の試験対策講習会は中止が決定されたようです。


2020/8/20追記:
残念ながら、2020年度の計算力学技術者資格認定試験(1級と2級)は中止となってしまったようです。詳細は機械学会の発表をご覧ください。※上級・初級は開催するようです。

2020年度1・2級認定試験 中止のお知らせ | 計算力学技術者(CAE技術者)の資格認定

受験資格について

計算力学技術者 認定試験は、そもそも受験資格がないと受けられません。受験資格は2級・1級でそれぞれ異なります。

2級の受験資格

簡単に言うと、「解析ソフトを使ったことがある」というのが受験資格になります。具体的には、下記のいずれかです。公認講習会の修了で受験しようとしている方は、申し込みまでに講習会を修了している必要がありますので、講習会の開催日程に気をつけてください。

  • 機械学会 主催の「付帯講習」の受講(固体分野のみ):
    固体分野のみ、受験の申し込みの際に「付帯講習」というものも合わせて申し込むことができます。これを受ければ、受験資格が得られます。2019年は、11/22に開催されました。
    ただし、会場が東京のみと限られていますので、遠方の方は大変かもしれません。
    ちなみに、同じく機械学会が開催している、似た名前の「試験対策講習会」では受験資格は得られません。「試験対策講習会」と「付帯講習」は別物ですので注意してください。
  • 公認CAE技能講習会の受講:
    CAEベンダーなどの講習会を修了すると、受験資格を得られます。
    「講習会なら何でも良い」というわけではなく、機械学会が認定した講習会でなければなりません。こちらのページに、公認講習会を開催している団体の一覧があります。公認講習会への参加は、各団体へ問い合わせましょう。
    試験申し込み(8月いっぱい)までに修了証をもらっている必要があります。講習会の開催時期は気をつけましょう。また、受験したい分野と同じジャンルの講習会の修了証でなければなりません(固体分野を受験するなら、固体系の講習会を受ける)。受講するベンダーの講習が受験資格として使えるものか、も講習会の主催者に確認した方が良いでしょう。
    公認講習会の修了証は、過去5年以内のものが有効です。
    申し込みの際は、修了証のコピーを同梱します。
  • 実務経験による認定:
    申し込み時までに、実務で受験分野のCAEを3年以上行っていれば、受験資格を得られます。
    申し込みの際、個人ページから様式をダウンロードして、実務経験を記述して受験申し込みの際に同梱します。確か、上司の方の署名も必要だったと思います。
  • 学位による認定:
    受験分野の解析に関するテーマで修士・博士の学位を持っている方は、学位証明書類などで受験資格を得られます。これも、個人ページから様式を作成できます。
  • 既に使用経験の認定を受けている人:
    過去5年以内に受験したことがあって、そのときに受験分野の使用認定を既に受けている人は、受験資格ありと判断されるようです。受験申し込みの際に、解析ソフトウェア使用経験認定証明書のコピーを同梱します。

多くの方は、実務経験による認定か公認講習会の修了で受験するのかなと思います。

私は、固体は付帯講習、振動と熱流体は公認講習会の修了で受験しました。

1級の受験資格

1級は、「2級資格を有すること」が受験資格です。過去に2級を合格・認定登録して2級資格を有する方か、1級・2級の併願で申し込む方が受験することができます。

試験の申し込みから試験当日まで

繰り返しますが、日程は2019年までの内容を元にまとめています。2020年以降は、その年の試験概要をご覧ください。

6月中旬:試験開催案内

その年の試験概要が公開されます。2019年の場合はこちらです。

8月上旬~中旬:試験の申し込み

ネットで試験申し込みを行います。初めて計算力学技術者 認定試験を受ける方は、個人ページのID・パスワードを取得します。個人ページ内で認定試験の申し込みを行います。

8月上旬~下旬:受験料の支払いと申し込み書類の郵送

個人ページで申し込みをすると、受験料をゆうちょ銀行で支払う「払込書」の記入例が印刷できます。ゆうちょ銀行に行くと払込書がありますので、それに記入して窓口で支払います。

払込書の右側の「受領証」は、後ほど申込書類を郵送する際にコピーを同梱する必要があります。つまり、払込書はATMではなく窓口で支払わなければいけません。ゆうちょ銀行は平日昼間しか開いてませんので注意しましょう。また、支払おうと思うと「窓口よりATMで支払った方が手数料が安い」とATMでの支払いを勧められてしまいますので、「受領証が必要だ、窓口で払いたい」と言いましょう。

また、写真票に貼る顔写真も用意しておきます。一般的な証明写真機で撮ったものを貼り付けてもOKですし、自宅で顔写真を撮影してjpgファイルを個人ページで登録することもできます。個人ページで登録すると、その写真が写真票に印刷されますので、写真貼り付けの手間が省けて便利です。

個人ページから受験票・写真票とソフト使用経験認定書(2級のみ。前述の受験資格の項)を印刷して、受験料支払いの受領証もコピーしたら、封筒に入れて郵送します。郵送の宛名も、個人ページから印刷できますので、それを切り取って封筒に貼り付けると便利です。

「郵送は簡易書留を推奨」と受験案内に書いてあるので、簡易書留の方が良いでしょう。簡易書留は、「確実に郵便局に渡した」という記録も必要なため、これまた郵便局に行って窓口で郵送手続きをする必要があります(郵便局の近くにコンビニがあって払込書の受領証のコピーができるなら、支払いと発送は同じ時にできるでしょう)。簡易書留での発送は、夜間のゆうゆう窓口でもOKです。もちろん、普通郵便でポストに投函でもOKですが、書類到着の確認はできません。

10月上旬:標準問題集 到着

受験申し込み時に「標準問題集」も購入した人は、10月上旬に問題集が届きます。(問題集が届かないと出題内容や参考図書も分からないのに、到着遅すぎ・・・)

試験は標準問題集に従った類題が出題されますので、これで勉強しましょう。

10月~11月:試験対策講習会の受講(希望者のみ)

機械学会は、日頃から機械工学に関連する様々な講習会・セミナーを開催しています。そのうちの一つとして、この資格試験の対策講習会も開かれています。(固体・振動・熱流体ともに2級の対策講習会です)

試験対策講習会は、認定試験の事業とは全く別で運営されているものですので、講習会の受講を希望する場合は、試験申し込みとは別に講習会の参加申し込みが必要です。(試験対策講習会への参加は任意で、試験の受験資格や合否には関係ありません)

9~10月頃に機械学会のイベント一覧のページを見たら、分野ごと・開催地区ごとに講習会の案内が出ていると思いますので、受講を希望する場合は開催案内を見て応募してください。

こちらの受講料は、ネットバンクなどからでも銀行振り込みで支払いできると思います。(熱流体の講習会はクレジットカード支払いもできました。機械学会は分野ごとに縦割りなので、この講習会の支払い方法も分野ごとに異なります)

CAEベンダーも、計算力学技術者 認定試験の試験対策セミナーを開催しているようです。そちらも役に立つかもしれません。

11月下旬:付帯講習の受講(固体2級のみ)

固体2級を受験する人のうち、付帯講習も申し込んだ方は、付帯講習を受講します。付帯講習は、受講者ごとに固体CAEを学べるように、機械学会がパソコンとCAEソフトを用意しておいてくれます(AdventureかFrontISTRのどちらかを選べたと思います)。

付帯講習の受講を受験資格としている人は、これを受講しないと受験できなくなってしまいますので注意しましょう。

11月下旬:受験票 到着

試験日の2週間くらい前だったと思いますが、8月に郵送した受験票が返送されてきます。試験当日、持って行く必要がありますので、なくさないようにしましょう。(これまた届くのが遅すぎて、ちゃんと申し込みが通っているのか不安になりました)

12月上旬:試験当日

例年、12月の第1か第2土曜日に開催されます。同じ地区でも、受験する分野によって部屋が異なると思いますので、受験の案内をよく確認しておきます。午前が1級、午後が2級です。勉強の成果を発揮しましょう!

試験後

3月上旬:合否 到着

3月上旬に、合否が普通郵便で郵送されてきます。無事合格していたら認定登録手続きが必要ですので、到着したらすぐに合否を確認しましょう。

3月中旬~3月下旬:認定登録手続き

この資格は、試験に合格しただけでは資格保有者として認定されません。合格の通知を受けたら、その時の案内に従って「認定登録」をする必要があります。

合格したら、個人ページに認定登録の案内が表示されます。

まず、認定登録料の支払いをします。個人ページに行くと払込書の記入例が印刷できます。これを印刷して、またゆうちょ銀行で払込書を書いて窓口に持って行って登録料の支払いをします。こちらも試験申し込みと同様、払込書 受領証のコピーを郵送する必要がありますので、窓口で支払います。ATMは不可です。

次に、個人ページから登録書類を印刷して署名・捺印し、受領証のコピーと一緒に封筒に入れて郵送します。郵送の際の宛名は個人ページから印刷して貼り付けることもできます。

認定登録の方も、申請書の発送は簡易書留が推奨されています。郵便局の窓口に行って簡易書留で発送しましょう。

4月:認定書の到着

資格の登録認定書が届いたら、一連の資格試験は終了です。お疲れ様でした。

認定登録から5年後の更新手続き

この資格は、一度取得したらずっと資格を有するのではなく、「最新動向に注意して能力向上に努めなければならない」という体で有効期限があり、5年ごとに更新手続きとお布施が必要です。資格更新制度については、こちらに書かれています。(私は更新したことがないため、詳細はよく分かりません)

更新手続きを忘れないように、Googleカレンダーなどに更新手続きの予定を入れておいた方が良いでしょう。

資格の更新には、計算力学に関する業務を3年以上継続している必要があります。更新手続きは認定期間が終わる年の1月中旬~2月中旬に申し込みをします。更新料として1万2000円ほどかかるようで、これまた払込書での支払いですので、ゆうちょ銀行に行く必要があります。そして、払込書 受領証のコピーとともに、更新手続き書類を郵送します。

まとめ

計算力学技術者 認定試験の日程について、私が受験したときに感じた注意事項を交えてまとめてみました。

本試験の受験申し込みから認定登録までを見ると、ネットだけでは完結せず、アナログな支払いや郵送が必須のため、とても煩雑です。特に、しれっと「受験料と登録料の支払いは払込書で」と書かれており、ゆうちょ銀行に二回も行かなければなりません。このために仕事を休まないといけないため、社会人で受験を考えている方は気をつけた方が良いでしょう。(少なくとも銀行振り込みに対応してくれれば、結構楽になるのに)

また、標準問題集が届かないと出題内容や参考図書が分からないのに、申し込みから問題集到着まで1ヶ月以上かかったり、試験日から認定登録完了まで4ヶ月かかる(年度も替わる)など、全体的に時間の流れが遅い試験なので、スケジュールを立てる際はこの点も気にとめた方が良いと思います。

さらに、資格の認定を維持するには、5年ごとに更新が必要です。更新の際も手続きや更新料が必要です。(百歩譲って更新が必要というのは理解するとして、試験に合格して初めて認定される人にも一手間&金をかけさせて登録手続きをさせるのは理解できない)

愚痴が入ってしまいましたが、(CAEツールの使い方ではなく)四力学・計算手法・結果の見方など、計算力学に関する幅広い分野にわたって出題される試験は他にないと思います。ご自身の腕試し、レベルチェックに最適だと思いますので、是非皆さんもチャレンジしてみてください。