アウトランダーPHEVのカメラボタンを移設する
2020年式アウトランダーPHEV(GG3W)には、ルームミラーの所にマルチアラウンドモニター(アラウンドビューモニター)のディスプレイと表示切り替えボタンがあります。
オートバックスでナビをつけてもらったとき、ディスプレイの表示はナビ側に表示するようにしてもらいました。
ただ、表示切り替えボタンがルームミラーの所にあるのは不便(ハンドルから遠くて操作しづらい)なので、ボタンを移設してみました。移設先は、ハンドル右のダミーカバーの所です。
完成形はこんな感じです。(一番右が移設したボタン)
やりたいこと
今回やりたいことの再確認
ルームミラーの所にあるマルチアラウンドモニターの表示切り替えボタンを、ハンドル右のダミーカバーの所に移設します。
ルームミラーにディスプレイが埋め込まれていますが、カーナビに同じく表示されるので、ルームミラー上のディスプレイは非表示になってもOKです。同様に、ボタンは移設するので、ルームミラーのボタンも効かなくなってOKです。さらに、このミラーに市販の凸面ミラーをつけるつもりですので、自動防眩も動かなくなって構いません。
また、念のため原状復帰可能なやり方でクルマをいじっていきたいと思います。
クルマ側の挙動
元の状態では、「ギアをリバースに入れる」とか「カメラボタンを押す」と、ミラーの左側にマルチアラウンドモニターが表示されます。そこからさらにカメラボタンを押すと、カメラの表示が切り替わります。
これら、映像信号やボタンの信号は、ミラーの後ろの配線を通して車両とやりとりをしているようです。
下の写真は少し見づらいですが、赤で囲った部分が元々ミラーに挿されていた配線です。私の車は、ナビを取り付けるときにカメラ映像をナビに分岐をするアダプター(左の青の配線)もつけてもらったので、それを経由してミラーに配線されています。
この配線ですが、「ボタンが押されている状態」は「茶黄の配線をグラウンドに落としている状態」で再現できるそうです。上記の写真を見ると、茶黄配線は(配線側からカプラー側を見て・ラッチを下にして)上段の右から2番目につながっていることが分かります。
ということで、この茶黄配線を引っ張り出していって、「押している間だけオン」のスイッチを通してグラウンドに接続すれば、カメラボタンを移設できます。
ここら辺の情報は、こちらのページを参考にさせていただきました。
用意するもの
使う部品
今回、クルマに組み込む部品として使用したのはこれらです。
・スイッチ:トヨタ用と書いてありますが、このサイズのものはアウトランダーPHEVにも使用できます。また、後で説明するとおり、モーメンタリー動作に改造する必要があります。
トヨタ用ですが、三菱のアウトランダーPHEVにも使用可能です。
・配線:スイッチと同じ線径の配線を選んでみました。今回は単なる信号線ですので、細い配線で充分だと思います。
・配線カプラー:キボシ端子でよいと思いますが、なんとなくカプラーを使用してみました。
適合コード:0.08〜0.3sq相当(AWG28〜22)
使用可能電力:DC12V36W以下・DC24V72W以下
・グラウンド用端子:どこか、ボルトに共締めしてボディーに導通させる必要があります。今回は、φ8の丸形端子を使用しました。厳密に言うとこちらの商品ではなく、後述の工具セットに入っていたものを使用しています。また、厳密にいうと、こちらの端子は適合コードサイズが合っていません。が、今回は小電流と思われる信号線に使っていますので、抜けたりしなければ特にトラブルはないだろうと思って、自己責任で使っています。
作業に必要な道具
今回の作業に使用した工具はこれらです。
・内装剥がし:Aピラーのカバーを取り外すところだけ、自転車のパンク修理キットに入っていたタイヤレバーを使いましたが、多分こちらの内装剥がしだけでも作業できると思います。
・圧着工具(太い配線用):こちらのセットに入っている丸形端子φ8と工具を使用しました。
・圧着工具(細い配線用):カプラーの圧着は、上記とは別に細い配線用の圧着工具が必要です。
・レンチ(10mm幅):グラウンドの端子を共締めするときに使用します。
前準備
スイッチをモーメンタリー動作に改造する
新しく設置するスイッチは、「押している間だけオン」というモーメンタリー動作のスイッチでなければなりません。
エーモンの純正風スイッチは、「押したらオン、もう一度押したらオフ」というオルタネイト動作のものですが、モーメンタリー動作に改造することができます。この改造については、別記事でまとめましたので、こちらをご覧ください。
配線にカプラーや丸形端子φ8を取り付ける
上記のスイッチや配線に、カプラーや端子をつけていきます。端子の取り付け作業は、別の記事でまとめようと思っていますが、完成形としては次の図の通りです。
回路としては、被覆を剥いたところを車両の信号線に接続して、スイッチを経由して、丸形端子でグラウンドに落とす、という感じになります。
クルマのパネル類を取り外す
ルームミラー裏のカバーを取り外す
ルームミラーの裏(フロントガラスの上部)にある、衝突軽減ブレーキ用のレーダー(?)のカバーを取り外します。
まずは、ミラーの支柱の右前にある小さいカバーを外します。
写真のように、カバーの左、前、右前、右後ろの順番で内装剥がしを差し込んでいけば外せます。4枚目の、カバー右後ろは外しにくいので気をつけてください。クルマの前方から内装剥がしを差し込むと、爪が浮いてカバーが外れます。(4枚目の写真は、運転席側から見た写真で、写真右がクルマの前方です)
取り外したあとの状態はこんな感じです。
続いて、大きなカバーを取り外します。
まず、レーダーの穴の所から指を差し込んで、隙間をこじ開けていく感じで左にスライドさせていきます。すると、左前の爪が外れます。同様に、右にもスライドさせていって、右前の爪も外します。
次に、左後ろの爪を外すため、横から内装剥がしを差し込みます。
次に、右後ろの爪を外します。ここは、指を無理やり差し込んで、こじ開ける感じで力をかけたら外せました。
パネルの裏側はこんな感じです。
Aピラーのカバーを取り外す
運転席側のAピラーのカバーを取り外します。ここら辺は、こちらのDVDでも取り外し方が紹介されています。個人的には、「天井側を外す → エンジン側を引っこ抜く → 黒いフックを外す」の方がやりやすい気がします。
このDVDのメーカーの「MKJP」の直販店舗から購入すると、同じ動画がスマホでも見れます。実際、クルマを分解しながら見ることができますので、直販での購入がとてもおすすめです。(「スマホ解説動画」の画像が目印です)
古いGG2W型の動画ですが、GG3W型でも充分参考になります。
ピラーカバーの上から内装剥がし(厳密には自転車のタイヤレバーを使いました)を差し込んで、てこのように力をかけると、上部のクリップが外れます。
続いて、ピラーをクルマの上方へ動かすと、ピラー下側の先端が抜けます。
すると、裏にプラスチックのフック状のものがありますので、ラジオペンチなどで90°回転させて外します。(ラジオペンチの先端をビニールテープで巻いたりすると、傷つかなくてよいと思います)
ハンドル右のボタン・エアコンパネルを取り外す
次に、ハンドル右のボタンやエアコン吹き出し口のあるパネルを取り外します。エアコン吹き出し口の下に穴が開いているいますが、ここは本来、ダミーカバーが付いています。ここに純正風スイッチを取り付けます。
(前述のメンテナンスDVDに、このパネルの外し方は紹介されていないのですが、雰囲気としては「ナビ周りのパネルの外し方」あたりが参考になると思います。)
まず、内装剥がしをパネルの右下から差し込んで、パネルを浮かせます。
続いて、左下にスライドさせていって、左下のクリップも外します。
さらに、右上→左上とスライドさせていって、上側のクリップも外します。これですべてのクリップが外れますので、まっすぐ手前(クルマの後ろ側)に引っ張り出します。
パネルの裏を見ると、ボタンに向かう配線がつながっていますので、配線カプラーを外します。このカプラーは、ラッチ付きのものですので、ロック部を押しながら引き抜きます。
パネルを裏から見ると、こんな感じです。クリップ4つでとまっています。
パネルを外したら、ダミーカバーを外します。本来は、上の写真の水色部分の左に、ダミーカバーが付いています。写真を撮り忘れてしまったので、エーモンのスイッチで代用すると、次の写真の赤矢印部が爪になっています(上側にもあります)。この爪を内側に押し込むと、ダミーカバーが外せます。
ちなみに、パネルを取り外して、車体側を覗いてみると、こんな感じです。中央付近に白いL字が見えますが、このあたりがAピラー部とつながっています。
これで分解終了です。
配線やスイッチを取り付ける
ここからは、配線やスイッチを接続しながら、外したパネルをつけていきます。
車両側カプラーに配線を接続する
今回の改造では、「改造後にルームミラーにカメラ画像が表示されなくてよい。その上、ミラー下のカメラボタンも効かなくなってよい」という前提です。なので、ルームミラー裏のカプラーを取り外して、そこに配線をブスッと挿して終わり、という方法をとりたいと思います。(ミラーの画面やボタンを生かしておきたい場合は、茶黄配線から分岐させる部品を使えばよいと思います)
カプラーに接続する線は、先端を5mmほど被覆を剥いて、よくねじっておきます。
そして、カプラーの接続面から、茶黄配線の端子に上記の配線を差し込みます。(先端をよくねじっておかないと、うまく挿せません)
うまく挿せたら、配線が外れないようにテープなどで留めておきます。
配線は、フロントガラス上部の隙間から、天井の内装に押し込んで隠しておきます。
エアバッグ固定ボルトにアースを接続する
車両に埋め込む配線の他端は、どこかでボディー(アース)に接続します。今回は、Aピラーのカバー内にある、カーテンエアバッグのストラップ(?)固定ボルトに共締めしようと思います。エアバッグですので、このあたりの作業は丁寧に・確実に行った方がよいでしょう。
このボルトを取り外してみると、M6のようです。
取り外したら、車両に埋め込む配線の他端(φ8の端子をつけた側)と一緒に、エアバッグのストラップを固定します。
このあたりで一旦、スイッチを接続してみて、動作チェックするのをおすすめします。(クルマのパワースイッチを入れて、ナビをバックカメラ表示モードにして、スイッチを押したらアラウンドビューモニターが表示されるはずです)
動作確認が終わったら、Aピラーの根元を通して、ハンドル右パネルの裏側に持ってきます。
パネルにスイッチを取り付ける
エーモンのスイッチをパネルに取り付けます。
これはごく簡単で、正面(室内)側からスイッチをはめ込むだけでOKです。
そうしたら、パネル側の配線と車両側の配線、それぞれのカプラーを接続します。
組み立てる
以上で配線作業は完了ですので、パネル類を取り付けていきます。ここら辺は、分解と逆順で組み立てていけばOKですので、詳細は省略します。
ハンドル右のパネルは、元からあったボタンの配線を接続して、パネルをはめ込めばOKです。
Aピラーのカバーは、黒いフックを元通りに引っかけて、Aピラーの根元(エンジン側)に差し込んで、天井川のクリップにはめ込めばOKです。
ミラー裏のカバーは、ミラーにつながっていた配線を隠しつつ、取り付けます。カバー自体は単純に、フロントガラス垂直方向からはめればOKです。小さいカバーも同様に取り付けます。
完成!
最初の画像と同じですが、完成したらこんな感じになります。動作確認ができたら、すべて完了です。お疲れ様でした。
こちらもどうぞ!
インパネや、後席エアコンの下のダミーカバーの所に、USBポートを追加しました。
パイオニアのETC2.0ユニットのブザー音を撮ってみました。ちなみに、アウトランダーPHEVの場合は、グローブボックス上段に取り付けるのがおすすめです。
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